タイ市場について、小売、EC、メディカルツーリズム、医療機器、食品、外食、食品包装、物流の8つの業界の市場規模および、各業界に進出している日本企業について記述します。

本記事を、貴社のタイ進出のための判断材料の一つとしてご活用いただければ幸いです。

 

1.タイの小売業界における市場規模

タイの小売業界における市場規模は、2018年の時点で約3兆6,700億バーツ。2009年からの年平均成長率は3.67%となっています。

01_タイの小売市場規模推移

引用元:ジェトロ-タイにおけるオンライン日用品市場(EC)に関する調査

https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/02/2020/ee4bbac44a2be14f/ec_thailand_0316rv202004.pdf

 

小売形態別の市場規模は、食品小売店が51.4%、非食品小売店が38.8%、百貨店が4.6%、非店舗型小売が5.2%となっています。

また、ECでの販売について、2013年は1.1%だったのに対し、2018年には2.0%とほぼ倍増しています。

 

2.タイのEC業界における市場規模

タイのEC(電子商取引)業界の市場規模は2018年の時点で約751億バーツ。2009年からの年平均成長率は15.99%と、EC環境が整っているタイでは高い成長率で市場規模を拡大しています。

カテゴリー別市場規模として、音楽やゲーム、映画のチケットなどのデジタルコンテンツ、靴含むアパレル製品、パソコンや携帯電話などのIT製品が上位となっています。

02_タイのEC市場規模のカテゴリ別シェア

引用元:ジェトロ-タイにおけるオンライン日用品市場(EC)に関する調査

 

また、ECサイトを利用して買った物の内容としては、複数の組織による調査が行われており、それぞれが統計した上位5品目は以下の通りとなっています。

電子取引開発機構(ETDA) タイ国家統計局(NSO) 価格サイト「Picodi」
ファッション ファッション・アクセサリー ファッション
美容・健康

(化粧品、サプリメント、医薬品)

食品・飲料・健康商品 家庭・ガーデニング用品
IT 製品 家電・エレクトロニクス 旅行
家庭用品

(家電、台所用品、家具)

家庭用品・事務用品 化粧品
フードデリバリー 航空券 スポーツ用品

3つの調査全てにおいてファッションカテゴリーにおける買い物が1位となっており、ECにおけるアパレル市場の規模と連動する結果になっています。

 

3.タイのメディカルツーリズムにおける市場規模

タイのメディカルツーリズムにおける市場規模について、バンコク・ポストによると、2017年の収益は関連事業含め5億8900万ドルに上ったとされています。

また、外国人患者数は、以下のような統計となっています。

03_タイにおける外国人のメディカルツーリズム

引用元:BOI-タイのヘルスケア産業の現状と投資機会

https://www.boi.go.th/upload/content/Ministry%20of%20Higher%20Education_Science_Research%20and%20Innovation_National%20Science%20and%20Technology%20Development%20Agency_NSTDA_60d29d65b5dd3.pdf

 

ただし、推計値は発表元により大きく異なっており、タイの銀行系シンクタンクの調査によると、2021年は1万~2万人、2022年は13万~18万人と、新型コロナウイルスの影響が大きく出た推計値となっています。

タイではメディカルツーリズムを主要産業として位置付けており、2021年にメディカルツーリズム向け医療ビザの発行を承認しました。これにより、医療サービスを受ける外国人は、1年間の有効期間内であれば、複数回の入国が可能となりました。(連続滞在は90日以内)この医療サービスにはリハビリテーション、アンチエイジング、美容整形などのサービスも含まれています。

 

4.タイの医療機器産業における市場規模

タイの医療機器産業における市場規模は2019年の輸入額が約700億バーツ、輸出額は約1050億バーツとなっています。

04_タイの医療機器輸出入額の推移

引用元:BOI-タイのヘルスケア産業の現状と投資機会

タイには医療機器製造業者が約600社ありますが、その9割が中小企業となっています。日本の大手企業も進出し、タイの医療を支えています。

05_タイの主要医療機器製造業者

引用元:BOI-タイのヘルスケア産業の現状と投資機会

 

また、タイでは2022年から2027年にかけてBCG(バイオ・循環型・グリーン)経済政策を掲げており、医療機器部門もその対象となっています。その為、医療用品・医療機器の輸入関税免除を2022年3月末まで延長するなど、様々な施策を行っております。

06_タイのヘルスケア産業の現状と投資機会

引用元:BOI-タイのヘルスケア産業の現状と投資機会

タイの国民医療費は約200億ドル規模で、国庫による医療費はその内約8割。医療費はタイの高齢者人口の増加に伴い、今後も増えると見込まれています。

 

5.タイの食品産業における市場規模

タイの食品産業における市場規模は、2018年で約1兆8000億バーツと、小売市場全体のほぼ半数を占めています。タイの小売形態は近年ではモダントレードと呼ばれる形態が増えており、日本企業も進出しています。

07_タイの食品産業における市場規模

引用元:山田コンサルティンググループ株式会社-タイ食品市場の概要/後編

(https://www.ycg-advisory.jp/learning/oversea_55/

 

また、タイは世界有数の食品輸出国でもあり、2017年の食品輸出額は約1兆バーツです。食品の輸入については、バンコクでは輸入食品の競争は極めて激しい一方で、他の地域では消費者の購買力が弱く、店頭に並ぶ輸入食品の種類はかなり限られているようです。

 

6.タイの食品包装産業における市場規模

タイの食品包装における市場規模は、種別により2つに分かれます。

紙、プラスチック類の包装

パッケージング企業の調査によると、食品包装の市場規模は約1090億バーツ、日本円で約3760億円となっています。市場シェアは、スーパーマーケットや小売店で売られている加工食品の割合が最も大きく(68.7%、約740億バーツ)、残りはチェーン系飲食店や中小の飲食店となっています。

金属類の包装

缶詰や飲料缶などの金属製の食品包装における市場規模は、2016年は約600億バーツ、日本円で約2060億円となっています。タイには45の金属パッケージメーカーが存在し、複数の外資系企業からの継続的な投資を受けており、その中には東洋製罐、武内プレス工業、昭和電工等の日本企業も含まれています。

※1バーツ=3.45円(2022年1月末時点)にて算出

 

7.タイの外食産業における市場規模

タイの外食産業における市場規模は2017年で約3兆9700億バーツ。その内、レストランチェーンにおける割合はおよそ3割となっています。日本食の需要は高く、フルサービスの外国食レストラン最大のシェアを持ち、その多くはバンコクにあります。

08_タイの外食産業における市場規模

引用元:山田コンサルティンググループ株式会社-タイ食品市場の概要/後編

また、バンコク首都圏(バンコク都市圏=バンコク都、ノンタブリー県、パトゥムタニー県、サムットプラカーン県)では一世帯当たり平均家計支出において自炊よりも外食・中食の支出が多くなっているというデータもあり、その頻度も多くなっています。

09_タイ人の食生活に関する調査結果

引用元:ジェトロ-タイの日本食品市場

https://www.jetro.go.jp/ext_images/industry/foods/past-seminar/pdf/201807_1-3.pdf

 

8.タイの物流業界における市場規模

タイの物流業界における市場規模は2019年で2兆バーツ。これはGDPの14%に相当します。その内訳は、陸運が79%、水運が18%、鉄道が2%、空運が1%となっています。2020年は新型コロナの影響で業界全体は赤字予測となったものの、ECの市場規模は1000億バーツに達し、需要の増加が伺えます。一方で、鉄道による運送が弱い事と、水運、空運における国内企業のシェアの維持が課題として挙げられています。

また、日本と違い陸続きのタイは大メコン経済圏(タイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムを中心とした経済圏)の中心にあり、およそ2億3千万人の経済活動を支えています。

ASEAN全体の物流における近年の課題は、食品を冷凍・冷蔵状態で運送・保管する「コールドチェーン物流」の品質の不安定さが挙げられます。徹底した品質管理が必要な分野において、日本企業も各国に展開し、品質向上のためにインフラやシステムの整備に携わっています。

10_主な日系物流業者のアジアのコールドチェーン展開

引用元:国土交通省-物流を取り巻く動向について

https://www.mlit.go.jp/common/001354692.pdf

 

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タイは現在タイランド4.0およびBCG計画などに基づき、主要産業の市場の拡大を図っており、それに伴い外国の企業の受け入れも積極的に行っております。ですが数々の恩典を受けるためには、複雑な制度や法令などを読み込まなければいけません。

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