タイ進出を考えるようでしたら絶対に抑えおくべき「BOI」についての概要およびその他の必要事項等について簡単にまとめました。

タイ進出への登竜門?「BOI」について

BOIは Board of Investment の略語で、海外からの投資振興のためにタイ政府が設立した機関です。日本では「タイ投資委員会」として東京と大阪に事務所があります。BOIではタイの「投資推奨法」という法律に基づき法人税の免除や外国資本の参加比率などの優遇措置を策定・実行する他、タイ市場への巨大な投資案件の審議・審査等を行っています。日本からタイへ進出をする企業の多くがBOI企業として認定されており、タイでの円滑な事業展開にBOIは欠かすことが出来ません。

BOIの要、タイへの投資奨励策について

BOIはタイ国投資委員会ガイド2020にて『業種の重要度』への恩典及び『国や産業発展に貢献する活動』への投資に対する恩典の付与について定義しております。

タイ BOI

タイ国投資委員会ガイド2020-P128より引用

 

1.業種への重要度への基礎的恩典について

まず、恩典の対象となる業種は製造業を中心に以下の通り大きく8つの分類に分けられ、更にそこから複数の中分類~小分類と細かく分けられています。

1類 農業および農産品(肥料、品種改良、商用木材の植林など23分類)

2類 鉱業、セラミックス、基礎金属(鉱物試掘採鉱、ガラスまたはセラミックス製品の製造、川下の鉄鋼製品の製造など17分類)

3類 軽工業(繊維製品、不織布、宝石など11分類)

4類 金属製品、機械、運輸機器(自動車、燃料電池、国防用無人システムなど23分類)

5類 電気・電子機器産業(家電、電子設計、スマート・エレクトロニクスなど9分類)

6類 化学工業、紙およびプラスチック(環境にやさしい化学品、特殊プラスチック、ボディケア製品など17分類)

7類 サービス、公共事業(物流、開発事業、タイ映画の制作など34分類)

8類 技術及びイノベーション開発(バイオテクノロジー開発、ナノテクノロジー開発、先端素材開発、デジタルテクノロジー開発の4分類)

なお、中分類以下に当該する業種が無かったとしても、タイの産業発展に貢献するものであれば追加されます。

このうち7類までについては業種ごとにA1~B2までの重要度が定められており、重要度が高ければ高いほどより大きい恩典を受けることが出来ます。

タイ BOI

タイ国投資委員会ガイド2020-P12より引用

 

タイ BOI

タイ国投資委員会ガイド2020-P12より引用

2.メリットによる追加恩典

この基礎的恩典の他、

  • 競争力向上(委員会が同意するタイ国内の機関への支援など)
  • 地方分散(一人当たりの所得の低い20県への立地)
  • 工業用地開発(工業団地または奨励されている工業区への立地)

が含まれている事業の場合、更に追加で1~3年の法人所得税免除や減税が追加恩典として付与されます。恩典の対象となる地域は以下の図の通りとなっています。

タイ BOI

タイ国投資委員会ガイド2020-P19より引用

3.申請についての注意事項や手続きについて

タイ国投資委員会ガイド2020によると、投資奨励申請について、

  • 申請者の国籍は問わない事
  • 投資額は(土地代と運転資金を除く)は1業種に付き100万バーツ以上であること
  • 導入する機械は新品であること(中古の場合は委員会の認可が必要)
  • 環境保護に配慮すること

と言った注意事項があります。また、投資奨励申請の手続きは申請書の提出のあと担当官との面接があり、審査へと移ります。審査は投資規模別に行われ、

  • 2億バーツ以下の投資…40営業日以内
  • 2~20億バーツの投資…60営業日以内
  • 20億バーツ以上の投資…90営業日以内

に認可/不認可が通知され、奨励認可となった場合、1か月以内に奨励受理回答をしなければなりません。

 

タイ進出のため確認しておきたい「FDA」とは?

外国企業が自国の食品などをタイへ輸出したり販売したりする場合、BOI申請併せてFDAへの申請登録も必要になります。FDAはFood and Drug Administrationの略称で、輸入品の安全性を確保し、消費者の健康を保護することを目的とされています。規制の対象となっている製品カテゴリーは以下のものが挙げられます。

  • 食品
  • 補助食品
  • 薬品
  • 化粧品
  • 動物縫製品
  • 医療機器
  • 麻薬
  • 危険有害物
  • ハーブ製品

製品の承認までは1週間と比較的早いもの(化粧品など)から、1か月~数か月(食品など)にわたり時間がかかるものまで様々です。更に、製品とは別に輸出入の許可も必要となりますが、こちらは既に許可が下りている企業への代行も認められています。なお、タイでは輸出入の禁止・制限品目の指定は商務省が行っていますが、FDAは保健省食品医薬品委員会事務局と保健省傘下となっており、輸入品の安全確保のため様々な行政機関が連携を取って管理しています。

 

タイでの所得税について

タイの所得税について、一般的な法人税率は20%ですが、中小企業(払込資本金500万バーツ以下、かつ年収益が3000万バーツ以下の企業)に対しては累進課税となっています。

純利益(バーツ) 税率
~300,000
300,001~3,000,000 15%
3,000,001~ 20%

申告納税は年に2度。まず、事業年度を6ヵ月経過した日から2ヵ月以内に、年間課税所得の見積額の2分の1に相当する税額を申告・納税します。また、確定申告は決算日後150日以内に行います。

 

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